「転倒=大ケガ」を防ぐ!作業現場で使える”かぶる労災対策”とは?ーヘルメットを被るほどではないけれど頭部保護が必要な現場でー

労働災害の中で、転倒による事故は多く発生しています。厚生労働省のデータによると、2023年(令和5年)の「休業4日以上の死傷災害に係る労働者死傷病報告」は合計135,371件となるのですが、うち、事故の型が「転倒」に分類された件数は、36,058件でした。約26.6%となり、全体の4分の1以上にのぼります。
引用:https://anzeninfo.mhlw.go.jp/user/anzen/tok/anst00_r05.html

厚生労働省は2023年(令和5年)4月1日から、第14次労働災害防止計画という5か年計画を実施しており、事業者にはより一層の対策が必要にもなっています。
転倒から作業者を守るうえで、どのような対策が考えられるのか、私たちは頭部に注目し、作業環境を快適にしていくお手伝いをさせていただいております。頭部を守る選択肢として「ヘルメット」があげられますが、ヘルメットを被るほどではないけれど頭部保護が必要な現場がございます。そういった現場で活用いただける帽子のご紹介を、労働災害防止の観点からご説明してまいります。

目次:
1.労災保険制度と事業者の責任
2.転倒防止対策の重要性
3.ヘルメットと安全用帽子との違いとは
4.インナーメット入りの帽子【涼】セーフティーが選ばれる理由
5.お客様がこの帽子を選ばれた理由と使用状況ご紹介
6.まとめ

1.労災保険制度と事業者の責任

労働災害が発生した場合、労働者は労災保険による補償を受けることができます。
労災保険という言葉、よく耳にしますが、どのような仕組みなのでしょうか?

引用:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/rousai/index.html

労災保険制度とは、厚生労働省のHPで下記のように説明されています。
“労災保険制度とは、労働者の業務上の事由または通勤による労働者の傷病等に対して必要な保険給付を行い、あわせて被災労働者の社会復帰の促進等の事業を行う制度です。その費用は、原則として事業主の負担する保険料によってまかなわれています。”

この労災保険制度は、ごく一部の業種をのぞき、従業員を1人でも雇用する事業所(企業)は必ず加入する必要があります。
また正社員、パートタイマーなど雇用形態には関わらず、賃金を受けるすべての労働者が対象となります。

そして、この労災保険にかかる費用は、すべて事業者側が負担することになります。
(労災保険料の計算方法も決まっておりますが、この記事内でのご紹介は省略させていただきます)

このようにすべての事業者には労災保険料を負担する責任がありますが、他にも負担すべき責任があります。
それは、労災事故が発生したときに事業者が追う下記のようなリスクを回避するための防止策です。

法的責任

●安全配慮義務違反により、労働者側から損害賠償請求される可能性がある
●労働安全衛生法の違反による罰則が科せられる可能性がある

経済的損失

●労災事故により休業する必要になった労働者への休業補償や医療費の負担、訴訟費用などが発生する可能性がある

社会的信用の低下

●労災事故の発生により、事業者(企業)の評判が損なわれ、取引先や顧客からの信頼を失う恐れがある。

こういったリスクが発生する可能性がある労災事故。これらを回避するためにも、事業者は積極的に労働災害防止策を講じる必要があります。

また、前述いたしましたが、厚生労働省は2023年(令和5年)4月1日から、第14次労働災害防止計画という5か年計画を実施しております。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000197308.html

こちらによれば、事業者に取り組んでもらいたいこと、として
「安全衛生の取組を見える化する仕組みを活用し、主体的に安全衛生対策に取り組む」ことを挙げています。
そして、「安全かつ安心して働くことができる職場づくりは、コストではなく人的投資」である、とも謳っています。
これは、まさに私たちが普段掲げていることとも重なります。

企業活動を存続させていくために、人材は人財である、という考え方が必要になっている時代です。労災事故へのリスク軽減という点、そして、将来への人的投資という意味でも労災対策は重要です。

では、具体的にどのような対策が考えられるのか、次パートで一例をご紹介します。

2.転倒防止対策の重要性

最初に、2023年(令和5年)の「休業4日以上の死傷災害に係る労働者死傷病報告」のうち、転倒によるものが全体の4分の1以上になる、とご紹介いたしました。

厚生労働省の第14次労働災害防止計画の概要では
(https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001287386.pdf)
高年齢女性の転倒災害発生率は特に高い、と記載されています。
上記資料の中で紹介されている労働災害の事例紹介としては、

●60代女性・製造業
工場の作業場で水をまいて清掃していた→濡れた床で足をすべらせ、転倒→右手をつき、骨折(休業見込期間は6か月)

●70代女性・小売業
商品の陳列作業中に、店内の別の売場に商品を取りに行く→床に足をとられ、何もないところでつまづき、転倒→右ひざを床に強打し、骨折(休業見込期間は2か月)

が挙げられています。

上記の事例では手やひざなどのケガでしたが、もし頭部を打つなどになれば命の危険にもつながりますし、転倒防止対策を行うことは事業者にとって重要となります。

それでは、転倒災害を防止するためには、どのような対策が考えられるのでしょうか。

転倒防止対策の例

●作業環境の整備
床面の滑り止め加工や段差の解消、照明の改善(明るく見えやすくする)など、作業現場に物理的な手を加える対策があります。

●4S活動の徹底
整理・整頓・清掃・清潔を徹底し、作業環境を常に整えていくことで、転倒リスク(物が床などに散らばっており、ひっかかりやすい状況)を低減します。

●危険予知訓練(KYT)の実施
作業開始前に、潜在的な危険(作業を行う導線に障害物があるのでは?など)を予測し、対策を作業者間で共有することで、事故の発生を未然に防ぎます。

●適切な防護用品の着用
滑りにくい安全靴や、頭部を保護するヘルメットや帽子などの着用を行います。

などが考えられます。

また先ほどご紹介した厚生労働省の資料では、「労働者への運動プログラムの導入」、「労働者への骨粗しょう病検診の受信勧奨」なども紹介されています。

ジュトクでは、毎日15時にラジオ体操を流し、希望社員は体を動かすようにしています。このように少しでも体を動かすことは大切ですね。
厚生労働省も、「毎日3分でできる転びにくい体をつくる職場エクササイズ」をYouTubeで公開しています。参考にご紹介させていただきます。

これからこの記事でお伝えしていきたい本題に入ってまいります。
私たちは作業帽子を開発・販売させていただいております。
作業帽子は頭部を守る「安全用の帽子」としても活用いただけます。
ただ、頭部を守るアイテムとしては、ヘルメットもございます。
ヘルメットと安全用帽子、どのような違いがあるのでしょうか?
次のパートでご説明いたします。

3.ヘルメットと安全用帽子との違いとは

頭部を守るアイテムと聞いて、最初に思い浮かぶものはヘルメットだと思います。
例えば建設現場などではヘルメットの着用が義務付けられています。ただヘルメットには様々な種類があり、例えば防災用のヘルメット、自転車やバイク用のヘルメット、登山用のヘルメットなどがあります。

最初に挙げた建設現場などで被るヘルメットは「保護帽」と言われるもので、厚生労働省が定める労働安全衛生法第42条の規定に基づく「保護帽の規格」に適合したものになります。

保護帽の規格
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=74066000&dataType=0&pageNo=1

この保護帽を着用しなければいけない作業は法律によって決められていて、
参考:https://anzeninfo.mhlw.go.jp/yougo/yougo27_1.html
例えば「物体の飛来、落下の危険があるとき」などが挙げられています。

このように、法律上決められた作業では、「保護帽」としての規格に通っているヘルメットを着用することが必要となります。

ただ、ヘルメットの着用感に対して、不満感を持つ方が多いのも事実ではないでしょうか。
たとえば、「重い」など。
ジュトクでもヘルメットを取り扱いしておりますが、重量的には重いものでは400g台後半、軽いものでは200g台後半、となります。
400g台後半=約500g、と考えますと、その重さは日常にあるもので例えると、500mlペットボトル1本分くらい、大根半分くらい、などになります。
大根半分が頭の上に乗っているというのはなかなかイメージしづらいですが、なかなかの重さではあります。
それを作業中常に被っているというのは、「必要なことではありますが」作業者にとってはストレスになる場合もあります。

また暑さについても気になる方が多いのも事実です。

※下記記事で、ヘルメットと暑さの関係についてご紹介しております。
夏のヘルメットは暑すぎる!ファン付きヘルメットは使いたくない!そんなときに

一方、安全用帽子はヘルメットほどの強度はありませんが、軽量で通気性が良いため、長時間の着用でも快適さを保てるのが特徴です。

保護帽としてのヘルメットの着用義務がある作業現場ではなく、「そこまでの危険性はないけれど、転倒時などの大けがを防ぐために頭部を保護したい」という現場であれば、安全用帽子も選択肢に入ってきます。
また、熱中症対策が求められる夏場の作業においても安全用帽子の導入は効果的になります。

このような理由から、わたしたちの作業帽子の1つ、【涼】セーフティーが多くのお客様に選ばれてきました。
次のパートでは、なぜこの帽子がお客様から選ばれているのかをご紹介します。

4.インナーメット入りの帽子【涼】セーフティーが選ばれる理由

●【涼】セーフティー~safety~
https://sagyouboushi.com/safety/

●【涼】セーフティーメッシュ
https://sagyouboushi.com/safety-mesh/

上記2種類がございますが、この帽子はインナーメットを帽子内部に内蔵しており、頭部を保護することができます。

インナーメットはPE再生ポリエチレンで出来ており、ヘルメットと比べるとかなりの軽さになります。
上記表でもご紹介しておりますが、軽いヘルメットと比べても、239g軽いです。
約250g・・・。また身近にあるものに例えてみますと、キャベツ1/4カットの大きさくらい、でしょうか。
これまたわかりづらいかもしれませんが、作業中頭に被るものとしては、この239gの差はかなり大きいです。

また、【涼】シリーズと名付けている通り、【涼しさ】をテーマに開発した帽子になりますので、通気性が良く、快適に作業していただくこともできます。
ヘルメットの違いとして、重さもありますが、この【涼しさ】もキーポイントになります。

※涼しさと通気性については、下記記事でもお読みいただけます。
夏の現場を快適に!涼しさと通気性で選ぶ作業帽子 メッシュ素材がおすすめ

そして、もう1つご紹介したいポイントは、「庇の長さの違い」です。

左側が【涼】セーフティ―で、右側がヘルメットです。
写真だと分かりやすいかと思いますが、庇部分の長さが異なります。
右側のヘルメットも、庇部分がクリアで視界確保はある程度できますが、左の【涼】セーフティーと比べると、数cmの違いは出ています。
この数cmの差が、視界の確保に大きく影響します。

安全面からも視界の確保は重要です。また、作業者のストレスという意味でも視界が狭いと作業効率も下がります。実はこの帽子の庇は、それらを加味して短くしています。以前の弊社作業帽子の庇は6.5cmほどの長さでしたが、改良した今の帽子の庇は、4.0cmとなり、1.5cm短くなりました。
これにより、「前が見えやすくて使いやすい」というお声を、お客様から多くいただけるようになりました。

このように、
●ヘルメットより軽い
●ちょっとした衝撃から頭を守ってくれる
●通気性を確保している
●庇が短く視界が確保できる

このようなメリットがあるアイテムです。

何度も申し上げる形とはなりますが、ヘルメットが必要な現場でヘルメットに変わるアイテム、というわけではございません。
ヘルメットが必要なほどの現場ではないけれど、頭を守りたい、たとえば転倒対策など、のために活用できるアイテムとなります。
大変ニッチなアイテムではありますが、多くのお客様に愛用いただいており、喜びのお声をいただいております。次パートでは、それらお客様のお声をご紹介いたします。

5.お客様がこの帽子を選ばれた理由と使用状況ご紹介

【涼】セーフティーを選び、ご使用いただいているお客様の声をまとめてみました。

●A社様
「労災対策で、ヘルメットほどではなくても頭部を守るアイテムを探していて、いろいろな製品を試しました。その中で、ジュトクさんの【涼】セーフティ―が、ちょうど良いアイテムでした。何がちょうど良いかというと、軽さ、強度、視界も確保できる、という点についてでした。」

●B社様
「【涼】セーフティーは、軽くて、庇も短いため、被っていても作業がしやすいです。一番助かるなと感じるシチュエーションは、中腰やしゃがんでいる作業のときです。作業するスペースはあまり広くなく、高さもあまりないのですが、そんな中でもコンパクトに着帽できて頭を守れるので助かっています。ふと気を抜いた時、頭をコツンとぶつけてしまうことがあるのですが、そのコツンから頭を守ってくれています。」

●C社様
「【涼】セーフティーを導入する前は、作業帽子は使っていませんでした。ただ、作業現場で転倒事故が発生し、安全対策について考える必要がでてきました。また、混入関係の品質事故も送り、作業帽子の導入を考える事になりました。ただ、今まで作業時に帽子はかぶっていなかったので、着帽を義務化させようとすると現場からの反発が予想されました。その反発、つまり現場からの不満を防ぐために、前もって帽子についてリサーチをしていました。そんな中で、ジュトクさんに出会い、この帽子が良いと考え、導入しました。」

各社様、それぞれのお悩みがあり、そのお悩みをピンポイントに解決するアイテムとして、【涼】セーフティ―を選んでいただいております。

また、上記のお客様はじめ、【涼】セーフティーを導入されている作業現場とはどのようなものがあるのか、ご紹介します。

●組立作業ライン
頭上には部品が流れているコンベアがある。板状の製品を組み立てるラインのため、頭上には常に板状の部品が動いている。結果、しゃがんだり、中腰になる作業が多くなる。

●成形プレス機オペレート
プレス後に製品取り出し、端材の除去などのため、プレス機の中に上半身を入れて作業する場合がある。

上記2つの現場におけるキーワードとすると、「中腰」、「しゃがむ作業」、「狭いスペースで作業」が考えられるかと思います。

他には、

●製品検品
●清掃作業

などでのご活用もいただいています。
これについては、前のパートでもご紹介してきた転倒対策のため、となります。転倒や横転などの事故が発生してしまい、対策として【涼】セーフティーを導入されたという事例です。

事故発生後の対策、もちろん大切ですが、事故が発生しますと、先ほどご紹介したような多くのリスクが事業者には発生します。
事故を未然に防ぐことが重要です。
労働災害を防止する、そのレベルを上げていくために、この帽子を活用いただいている企業様も多くいらっしゃいます。

6.まとめ

作業現場で使える”かぶる労災対策”というテーマで、頭部保護に活用できる帽子をご紹介してまいりました。
頭部保護、これは転倒防止対策にもなります。転倒災害は労働災害の中でも発生頻度が高く、企業にとっては大きなリスクとなります。リスク対策のためには、作業環境の整備や安全教育の実施とともに、適切な防護アイテムの導入も重要となります。

今回ご紹介している【涼】セーフティ―は、作業者のストレスをなるべくおさえ、快適に使っていただくことを念頭において開発した、安全用帽子となります。
労働災害防止の一環として、ご検討いただければと考えております。

日本の作業現場を快適にしたい、そうすることで皆さまの課題解決のお役に立ちたい、そんな想いを持ち、作業帽子を制作しております。
お困りごとなどございましたら、ぜひご相談いただければと思います。
お問い合わせはこちらまで。

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