作業現場を支える1個ができるまで~作業帽子の製造現場レポート
毎日作業現場でお使いいただいている作業帽子。その1個1個がどのように作られているか、ご存じでしょうか?
実は、作業帽子の製造には多くの工程とこだわりが詰まっています。快適性や安全性、そして耐久性を兼ね備えた一品が生まれる裏側には、熟練の製造者たちの努力と経験が詰まっています。
今回は、作業帽子の製造現場をご紹介させていただきます。毎日お使いの作業帽子がどのようなこだわりを持って作られているのか、ぜひお読みください。
目次:
1.製造工程の紹介
2.現場のこだわりとは?
3.まとめ
1.製造工程の紹介
作業帽子がどのように作られているのか、その製造工程をご紹介いたします。
ジュトク工場内の様子も随時ご紹介していきます。
ジュトクは愛知県豊橋市に本社、向山工場、大村工場を構えています。日本のほぼ真ん中で高い機能性を持つ作業帽子製造し、日本全国にお届けしています。
(1)設計・デザイン
新しい作業帽子の開発を行う場合、最初に行われるのが作業環境や使用目的に応じた「設計・デザイン」です。
例えば、温度や湿度が高い作業現場で使用される作業帽子であれば通気性を重視する必要がありますし、防護機能が必要な現場であれば安全基準を満たす設計が求められます。
経験のある担当者が議論を重ね、大枠のコンセプトを決めていきます。
コンセプトが決まると、次に素材の選定を行います。作業帽子にはさまざまな素材が使用されますが、用途によって最適なものを選びます。例えば、通気性を重視する作業帽子であれば、メッシュ生地を採用することで、作業中の快適さが保たれます。最近では環境に配慮したリサイクル素材の活用も検討を進めています。
次に、いわゆる設計図を作ります。帽子は複数のパーツを縫い合わせて完成させるため、それぞれのパーツの形、大きさなども決めていきます。
(2)試作
選定した素材を使い、設計図に基づいて試作を行います。試作を行った後、多くの人に着帽していただきながら使用感を確認します。ときには社外のお客様にも試用いただきながら、想定される使用目的に沿う出来になっているかを確認していきます。
問題ないことが確認できたあと、量産に移行します。
(3)金型製作~裁断
帽子は複数のパーツを縫い合わせて作っていきます。それぞれのパーツは使用する生地から抜き出す必要があります。
抜き出すために、まずは抜型としての「金型」を製作します。
金型完成後、裁断機を使用して、生地を各パーツの大きさに抜いていきます。
(4)縫製
裁断した各パーツを縫い合わせていきます。帽子の縫製は数ミリずれるだけで、出来上がりのサイズが大きく変わってしまうため、繊細な作業が必要です。ミリ単位での確認を行いながら各パーツを組み合わせ、帽体にしていきます。
帽体になった後、庇(ひさし)を縫い付けていきます。立体物である帽体の曲線に合わせて庇を縫い付けるためには高い技術が必要となります。
そのため機械を使った自動化が難しく、現在においても「職人技」が必要となっています。
(5)検品と仕上げ
縫製が終わると、次は品質をチェックします。
1点1点の帽子を確認し、ほつれがないか、形状が正しいか、厳しくチェックを行います。作業帽子は安全に関わる重要アイテムでもあります。設計通りできているのか、基準を満たしているのか、など重点的に確認していきます。
(6)名入れ加工
ご要望によって、作業帽子に名入れ(社名など)加工を行っていきます。
刺繍、印刷・転写など、ご要望に最適な名入れ加工方法を選択し、作業を進めます。
例えば「シルク印刷」という方法では、1色ごとに版を作成し、その版を使って帽子自体にインクで刷っていきます。「転写」という方法では、シールのような転写シートを熱で帽子に貼り付けていきます。
帽子1個1個に対して、丁寧に印刷をしています。
名入れ加工については下記の記事でもご紹介しております。よろしければお読みください。
作業帽子に名入れ加工をするなら?選び方と加工方法の種類をご紹介
(7)包装・出荷
最後に、仕上げを施した作業帽子を丁寧に梱包し出荷準備を行います。愛知県豊橋市のジュトク工場より、日本全国に作業帽子をお届けしています。
2.現場のこだわりとは?
作業帽子製造の現場では、細部へのこだわりが至るところに見られます。また、スタッフ同士のチームワークも重要です。一つの帽子を仕上げるために、各工程が連携して進められています。
どのようなこだわりや思いを持って日々の製造と向き合っているのか、ジュトク製造部のメンバーに聞いてみました。
質問者
「作業帽子を製造するうえでの難しさ、ポイントなどあれば教えてください」
製造部メンバーA
「私は帽子の縫製を担当しています。帽子以外の縫製の経験もありますが、帽子の縫製は難しさがあります。」
質問者
「帽子の縫製の難しさというのは具体的にどういうことでしょうか?」
製造部メンバーA
「帽子ならではの難しさということになるのですが。帽子は洋服などと比べて小さいものになるので、構成するパーツも小さくなります。」
※帽子は複数のパーツを縫い合わせて作っていきます。
製造部メンバーA
「さらに、そのパーツは曲線が多い形になります。帽子は頭に被るものですので、頭が立体的であることを考えると、帽子のパーツもそのようになりますよね。そして、その曲線に合わせて縫い合わせていくというのが難しいのです。」
質問者
「たしかにそうですね。直線部分を縫うよりも、曲線部分に合わせて縫っていく難しさがありますね。」
製造部メンバーA
「さらに、パーツを縫い合わせる上で縫い幅は規定よりズレないよう注意しないといけません。縫い幅が1㎜ずれるだけで、帽子としての仕上がりが8㎜以上ずれてしまうこともあります。」
質問者
「1㎜ずれるだけで、帽子としての仕上がりが8㎜以上ずれてしまうことがある、というのはなぜでしょうか?」
製造部メンバーB
「帽子は複数のパーツを縫い合わせて作るからです。1つ1つのパーツにずれがあれば、1つのパーツのずれ×パーツ数分だけ、全体に影響してきます。パーツ数が8個あれば、1つのパーツのずれが1㎜あると、×8、つまり8㎜のずれが全体としては発生するということになります。帽子は作業時間中ずっと被るものですし、これだけのずれがでると、着帽時に違和感が出てしまいますよね。帽子としてのサイズは同じLという設計なのに、仕上がりに違いがあるようでは、商品として成り立ちません。」
質問者
「ひとりひとりの技術力が必要になりますね。日々、作業帽子を製造するうえで意識していることなどありますか?」
製造部メンバーB
「メンバーそれぞれに得手不得手はあります。日々助け合い、フォローしながら製造を行っています。」
製造部メンバーC
「私はまだ帽子の縫製に慣れない部分もありますが、皆さんと一緒になって日々がんばっています。」
製造部メンバーB
「さきほどお話したように、帽子の縫製には一定の経験や技術が必要になります。製造部全体で声掛けをしあいながら、互いの技術を高めていく、また、経験のあるメンバーによる最終検品も行うことで、品質のよい帽子を作っていけるよう努力しています。あと、新しい帽子を開発したとき、必ず自分たちでも被ってみて、使用感を確かめています。自分たちが本当に良いと考える帽子をお客様にご提供しています。」
以上がジュトク製造部メンバーから、になります。
私(質問者)は、ふだんミシンを使うことはなく、パソコンのキーボードを打つこと専門ですが、製造部メンバーの作業の様子を見て、衝撃を受けました。
記事にも記載してある通り、曲線を縫い合わせる作業は大変難しいと思うのですが、製造部メンバーは本当に簡単に縫い合わせていくのです。縫製のスピードも速く、「あれ、実は簡単な作業なのかな?」と勘違いしてしまうくらいです。
実際はそうではなく、まさに経験と技術のなせる技なのです。
このように「熟練した人による作業」が必要だからこそ、作業帽子作りは、簡単には機械化ができないのだと思います。
そして、熟練した製造メンバーが社内にいること、これがまた私たちジュトクの強みであるな、と製造部の取材を通して改めて感じました。
3.まとめ
作業帽子は、現場の安全を支える重要なアイテムです。その1個1個ができるまでには、数々の工程を経て、開発者・製造者たちの情熱が詰まっています。次回作業帽子を手に取る際は少しだけで結構ですので、そんな背景を思い出していただければと思います。
製造現場のこだわりを知っていただくことで、より、ご自分の作業環境に合った帽子を選ぶ参考にしていただければ幸いです。
日本の作業現場を快適にしたい、そうすることで皆さまの課題解決のお役に立ちたい、そんな想いを持ち、作業帽子を制作しております。
お困りごとなどございましたら、ぜひご相談いただければと思います。
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